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四国の「道の駅」を訪ねて

滝宮(香川県綾歌郡綾川町) -うどん発祥の地-(2006年9月)

2006.09.01 四国の「道の駅」を訪ねて

【概要】道の駅「滝宮」

〒761-2305
香川県綾歌郡綾川町滝宮1578
TEL 087-876-5018 FAX 087-876-5657
定休日 第1・3火曜日

シリーズ「四国の『道の駅』をたずねて」第2回は、香川県の中央部、綾川町にある「滝宮」を紹介する。

 

道の駅「滝宮」

松山市内から車で約2時間半、高速道路を経て国道32号線を高松方面に走ると、“道の駅滝宮”と書かれた大きな看板が視界に入ってくる。「滝宮」は、1998年4月に登録された香川県内で10番目の道の駅である。周辺には、さぬき百景に選定された桜の名所の滝宮公園や風光明媚な府中湖畔がある。

 

うどん発祥の地「綾南(りょうなん)」

滝宮が位置する旧綾南町(現綾川町)は、うどん発祥の地といわれている。うどんの「祖」といわれるのが、滝宮出身で空海の甥にあたる「智泉大徳(ちせんだいとく)」である。智泉は、空海門下第一の秀才と評され、大陸(唐)の進んだ文化を携えて帰国した空海に、唐に伝わる麺の打ち方を伝授されたそうだ。麺作りの技術を習得した智泉は、故郷の両親をこの麺でもてなしたといわれており、これが讃岐うどんのルーツである。
 綾川町を含む中讃地域は、うどんの原料となる良質な小麦の産地で、かつて農家は川の流れを生かして水車で小麦を挽き、自家製のうどんを作っていた。現在でも、この地域にはうどん店や製麺所が数多く存在する。

 

施設の概要

当施設は、「うどん会館」をはじめ、地元の農産物を取り扱う「ふれあい産直市」や屋外の船型展望台などで構成されている。さらに、8月を除く偶数月には、フリーマーケットイベント「楽市楽座」が開催され、大勢の参加者で賑わう。
 中核施設であるうどん会館には、うどん打ち体験室、香川県産の小麦粉「さぬきの夢2000」を100%使ったさぬきうどんのレストラン、土産物ショップなどがある。
 休日になると、四国島内に加え、関西や山陽方面からも多数の来園者が訪れる。年間の来園者は約30万人にのぼり、最近では団体客より個人客が多くなっているとのことである。なお、さぬきうどんブームとなった2002~2003年には、来園者数が約40万人に達し、オープン以来のピークを記録した。

 

さぬきうどん作りを体験!

うどん会館の目玉として定着しているのが「手打ちうどん体験室」。この教室は、専門講師による実演指導により、実際の作り方を体験し、家庭でも気軽にさぬきうどんを味わってもらおうという目的で実施されている。参加者数は、年間2万人程度で推移しているようだが、最近ではうどん(麺)作りを趣味に持つ中高年男性からの問い合わせが急増しているそうだ。
 食べるだけでは満足できない人は、是非一度参加して、さぬきうどんを極めてみてはいかが(ただし、要予約)。

 

うどんから生まれた商品

支配人の中山雅登氏は、さぬきうどんを生かした創作メニューの開発に精力的に取り組んでいる。「“うどんde グラタン”など、地元食材等をアレンジしたメニューを年1~2種のペースで作っている」とのことである。
 なお、当施設の看板商品は「うどんアイス」。チップ状のうどんが入った、ここでしか味わえないアイスで、遠方からわざわざ食べにくるほど全国的に話題の商品となった。このアイスは、多い日で1千個以上販売され、夕方には売り切れになってしまうほどの人気商品だ。味は3タイプあり、いりこだしの風味が強い「超こってり味」は若い女性から根強い支持があるそうだ。
 持ち帰り用のお薦めは、定番のさぬきうどん詰め合わせのほか、スナック菓子「さぬきあげうどん」。手頃な土産として好まれ、売れ筋商品となっている。

うどんアイス

 

道の駅界隈は?

当施設から歩いて約5分のところに、讃岐の国司を務め、学問の神様で有名な菅原道真を祀った「滝宮天満宮」がある。この界隈で、気軽に散策が楽しめるスポットの1つである。特に受験シーズンや毎年8月25日に行われる神事「滝宮念仏踊」の時期になると、多くの参拝客が訪れ、辺り一帯は大いに賑わうそうだ。

 

さらなる発展を目指して

中山氏は「顧客の嗜好が多様化し、メニューやお土産などの回転(入替え)が早くなった。また、町内のうどん店や産直ショップとの競争も激しくなっており、道の駅として、独自の戦略を打ち出していくことが課題」と語る。今後は、地域とも連携して地元産「さぬきの夢2000」うどんのPRやオリジナルメニューの開発などを推進していきたいとのことだ。滝宮が「さぬきうどんの情報発信基地」として、さらに発展していくことを期待したい。

(大塚 伸治)

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