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くろーずあっぷしまなみ

愛媛県今治市 舞台は瀬戸内海、主役は景観、客席は橋 -“海の都いまばり”のチャレンジが始まった-(99年4月)

1999.04.01 くろーずあっぷしまなみ

 「海の都」今治の発展の歴史には、大きく3つの時代がある。まず、慶長7年(1602)に藤堂高虎が関ヶ原の戦功によって伊予半国の20万3千石を与えられて、今治城を築城し城下町を築いた「今治港の起源」の時代。
 次に、小船の出入りする一小港から汽船寄港誘致運動によって数多くの船舶が寄港するようになり、瀬戸内海きっての商都となった明治・大正期の「本格的な築港」の時代。
 そして、今“ファッションタウン構想”を掲げ、しまなみ海道という大舞台を得て「21世紀の海の都」に生まれ変わろうとしている時代である。

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拠点会場となる今治港ゾーン

 開通記念イベント「しまなみ海道’99」は、様々な規模と様態の1,000を超えるイベントからなり6百万人の集客を目指す。
 4つの特定会場のうち来島拠点会場は、今治港ゾーン、糸山ゾーン、下田水(しただみ)会場の大トライアングルゾーンで構成される。今治港ゾーンは港湾ビルに愛媛館、今治市館が設けられ、今治フィッシャーマンズワーフ、ミニ今治美食市、レストラン、特設のふれあいマリン広場ステージやフェリーを利用した今治プレゼンテーションショップなどのイベント会場となる。
 中でも今治市館は“チャレンジ”をキーワードに、観光、物産、史跡などのインフォメーションコーナーや地場産業のタオル、漆器の商品展示や新造船の進水式の模様を80インチスクリーンで映し出すチャレンジシアターなど「海の都いまばり」の歴史、文化、産業、生活を語る中核施設となる。

 

体験型イベントの拠点となる糸山ゾーン

 糸山ゾーンは、自転車、徒歩で渡れるしまなみ海道のスタート地点であり、サイクリングターミナル「サンライズ糸山」周辺がイベント会場となる。しかし糸山ゾーン最大の会場はなんといっても“くるくる大橋”の愛称が決まった来島海峡大橋であろう。
 全長4,105mの世界初の3連吊橋を利用したイベントは盛り沢山で、「瀬戸内しまなみ海道国際スリーデーウォーク」「ツール・ド・しまなみ」「瀬戸内海を歩いて渡ろう」「車イスウォーク」「来島海峡大橋サイクリング大会」など体験型のイベントが目白押しである。今治市イベント推進課では、“舞台は瀬戸内海、主役は四季折々移り行く景観、会場は橋、案内人は12万市民”と感動の大舞台の幕開けを表現している。
 糸山公園の来島海峡展望館や展望台から見る来島海峡の眺望は、俳人高浜虚子が「戻り来て 瀬戸の夏海 絵の如し」と詠んだ潮流、多島美に人工美が織りなす絶景ポイントでもある。

 

絵になる街“今治”

 今治商工会議所や愛媛県が主催する今治しまなみ海道絵画展では、地元出身の智内兄助をはじめ日本を代表する洋画・日本画家62人が今治と周辺を描く。既に20名以上の画家が今治を訪れテーマの選定や下絵制作を終えている(展示期間は9月1日~20日)。
 また愛媛県内在住者を対象に絵画の一般公募も行われる(展示期間は7月25日~8月15日)。第一線で活躍中の芸術家の競作や県内のアマチュア画家の新鮮な傑作が楽しめる。風光明媚なポイントばかりでなく今治地域の風習・風俗なども描かれ全国に今治が紹介されることとなる。今治しまなみ海道絵画展は、今治の芸術文化の息吹を顕在化させ育成するチャレンジでもある。

 

ひとりが今治の街を浮かび上がらせる

 4月3日には今治城ライトアップ点灯式が行われ、お堀の水面に城影が揺れる幻想的な光景が浮かび上がる。また開通日の5月1日午後7時30分には瀬戸内しまなみ海道沿線市町村が寺院の鐘や渡船・船舶の汽笛を合図に一斉にライトアップで開通の喜びを表現する。
 拠点会場ばかりでなく今治市内でも様々なイベントが行われ、8月には今治城吹揚公園や市役所駐車場・商店街のオープンスペースやライブハウスなどでジャズコンサートが開催され、ジャズの音が似合う港町今治をアッピールする。

▲開山公園

▲開山公園

 

来島海峡大橋を利用したイベントと産業観光の定着を

 しまなみ海道’99は今年の春から秋にかけてのイベントであり一過性に終わっては「海の都」今治の実現は難しい。実現には来島海峡大橋を利用したイベントの継続と観光客を街に引き込む産業観光の定着が鍵になると思われる。サイクリングターミナルは体験型観光の拠点であり、架橋は絶好のイベントポイントとなる。今後は来島海峡大橋を「どうぞご自由にお使い下さい。開催のノウハウ等は地元が提供します」といったソフト面を含む地元の協力・支援体制が求められるのであろう。
 また観光ハム工場や進水式などの産業観光は地域産業の振興と地域活性化を進めるファッションタウン構想の重要戦略である。壮大な進水式で感動し、myタオルづくりに挑戦し、鉄板で焼くヤキトリに舌鼓を打つ。そんな想像するだけでも楽しくなる産業観光を是非とも定着させてほしいものである。
 しまなみ海道という大舞台を得た「海の都」今治の変貌ぶりを大いに期待したい。

 

しまなみ海道開通に関連する今治の主な動き(’99秋まで)

観光施設イベントPR等
今治しまなみ観光物産館
観光ハム工場
大型温泉浴場「清正の湯」
観光清酒工場
サイクリングターミナル
  「サンライズ糸山」
来島海峡展望館
来島海峡SA
道の駅「今治湯ノ浦温泉」
今治市館、愛媛館
テクスポート今治改装
しまなみ海道’99イベント
 いまばり海の都フェスティバル
 今治しまなみ海道絵画展
 進水式
 今治ジャズタウン
 ライトアップ今治城
 ライトアップ来島海峡大橋
 おんまく
 今治タオルフェア
 いまばり商人まつり
 むすび祭り
観光キャッチフレーズ募集
カウントダウンしまなみ(掲示板)
巨大壁画「しまなみキララ」
来島海峡大橋の愛称募集
糸山周辺クリーン運動
「しまなみ環境美化の日」
しまなみスタジオ
やきとり情報誌
タオル工場マップ
コミュニティFM
 「ラヂオ BARIBARI」

(黒田 明良)

 

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