私たちは活力ある地域づくりをサポートします。

くろーずあっぷ中予

広田村 “ひかり”が人々をもてなす広田村(98年3月)

1998.03.01 くろーずあっぷ中予

hirotamap

9803_01 広田村は、愛媛県のほぼ中央に位置し、総面積の85.7%を林野が占める典型的な山村である。
 とはいえ、県都松山市へは陸路28km、車で約45分、砥部町から車で約30分、久万町で約40分と、絶好のドライブポイントといえよう。
 広田村では現在、数々の事業が多岐にわたって精力的に展開されている。今回は、村外からの訪問客が身近に楽しめる諸事業の主だったもの、広田村ならではのユニークな取り組みをご紹介したい。

神の森公園開発事業

 広田村では、人口が戦後一貫して漸減、しかも村の主力産業の森林産業が構造不況化した。このため、村民の活力を引き戻し、村の活性化を図ることが急務となった。1987年を「村おこし元年」と位置づけ、村の豊かな自然と文化の資源を有効に活用した数々の事業を推進するに至った。そのなかで同村の中核事業であり、内外から注目されているのがこれからご紹介する神の森公園開発事業である。

神の森大橋

 松山から砥部町を経て広田村に入る。仙波ケ嶽トンネルを抜けると、ほどなく左手に「神の森大橋」が目を引く。赤銅色に輝いているため金属製と思いきや木製のアーチ橋とわかった。重量20トンまでの車の通行が可能な木橋は、日本でも極めて珍しい。橋の対岸では遊歩道の工事が進められており、完成後が楽しみである。

ふるさと館、こぶしの家

 大橋を過ぎるとほどなく「ふるさと館」を中心に「こぶしの家」と「陶芸舎」が立ち並ぶ憩いのゾーンに出る。「ふるさと館」では、地元のグループの手による広田焼、工芸品等特産品の数々が販売されている。ほっと落ち着く空間である。隣りの「こぶしの家」では、地元特産のうどんやそばのほかおでん、コーヒーなどを提供している。名物「たらいうどん」の味は、心地よい清流のせせらぎの音とともに心に残る。

道の駅

9803_03 「そろそろトイレに・・・」となるころではあるが、少々我慢を!「ふるさと館」からほんの少しで「道の駅」に出る。トイレに併設された木肌も美しい木造の休憩所がなんとも嬉しい。トイレも実に清潔で周囲の景観に見事に溶け込む。これで我慢した甲斐があったというもの。

広田村交流ふるさと研修の宿

 広田村では、都市と山村との交流を深めるために滞在型リゾート施設にも注力している。その代表格が「研修の宿」である。緑のふるさと広田村にふさわしく、木をふんだんに用いた宿泊施設である。研修の宿に限らず他の施設でも銘木が至る所に使われている。それらは全て地元の人々からの寄贈によるという。このような町村がほかにあるだろうか。こんなところからも村を愛し、来客をもてなそうとする地元の方々の熱い思い入れが伝わってくる。なお、研修の宿では、地元で採れる旬の素材を新鮮なうちに召しあがっていただきたいところから予約制をとっている。連絡申し込み先は、TEL(089)969-2258、FAX(089)969-2766。

山村留学「国木(くぬぎ)ハイランドビレッジ」

9803_04 最後に広田村のユニークな事業をご紹介しよう。山村留学は、過疎対策の一環として平成4年に強力にスタートさせた事業。留学生を受け入れているのは村立高市小学校。97年度は、県内から16人、県外からは沖縄県等から8人の計24人。92年度以降の留学児童数は延べ150人を数える。年度平均25人は、中四国の他町村が1ケタの受け入れのなかで同村の健闘・定着ぶりが異彩を放っている。その背景には、地元の方々の情熱とあらゆる面での強い協力があると思われる。
 このように、広田村では随所でユニークな施設が人々を温かく出迎えてくれる。しかし、特筆すべきは、村自体が発する数々の“ひかり”ではないだろうか。自然のひかり、人々のひかり、文化のひかり、技のひかり、そして子供たちの純真なひかり・・・。四季折々多くのひかりに満ちあふれる広田村。ぜひとも四季毎にお訪ねのうえ、多くのひかりを浴びてリフレッシュしていただきたい。

(田所 孝正)

ページTOPへ
Copyright©IYOGIN REGIONAL ECONOMY RESEARCH CENTER,INC.ALL Right Reserved.