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西日本レポート

【京都府京都市】京都に新たな観光資源、京都水族館オープン ~水と緑、いのちを体感できる施設を目指して~

2012.06.01 西日本レポート

京都に新たな観光資源、京都水族館オープン ~水と緑、いのちを体感できる施設を目指して~

多くの生物が泳ぐ大水槽

今年3月14日、日本の歴史・文化の中心地である京都市に新たな観光施設、京都水族館がオープンした。同館は京都駅から程近い梅小路うめこうじ公園内にあり、京都市初の本格的な水族館で、内陸にある水族館としては国内最大級を誇る施設となっている。
そこで今回は、京都の新たな魅力の1つとなりつつある京都水族館と梅小路公園の再整備の様子について紹介する。

京都水族館の外観

京都水族館の外観

京都水族館の特徴・見所

京都水族館の特徴は、「人工海水」を使用していることにある。従来は大量の海水の確保が困難なため、京都のような内陸部で水族館を建設することは難しかった。そこで、同館では人工海水製造システムを全面的に導入し、運搬にかかるエネルギーも削減している。また、水使用量の削減を図るための雨水利用システムや太陽光発電システムを導入し、エコな水族館になっている。
“水と共につながる、いのち。”をコンセプトにつくられた京都水族館では、“京の川”から“海”に至る流域に存在する250種、1万5千匹の生物が展示されている。
館内は9つのゾーンに分けられており、最初の「京の川ゾーン」には、鴨川を再現した水槽で国の特別天然記念物であるオオサンショウウオが展示されているほか、京都府北部を流れる由良川をモチーフとした水槽では、イワナやヤマメ、コイやギンブナなどを見ることができる。
そのほか、「山紫水明ゾーン」では、オヤニラミやアユカケといった希少生物を展示、失われつつある京都の生態系についての情報発信も行っている。
また「大水槽」では、エイやウミガメ、アジなど数多くの生物が優雅に泳ぎ、躍動するいのちの煌きを感じることができる。

エデュテインメント型水族館

京都水族館は、生物や標本を見学するだけではなく、地元・京都の自然や生態系を楽しみながら学べる「エデュテインメント(注)型水族館」を目指して様々な工夫がなされている。
「海洋ゾーン」では、飼育スタッフが行う生物の繁殖・飼育の様子が見られるほか、ネコザメなどの生物に実際に触れることのできるコーナーもある。「イルカスタジアム」で開催されるイルカパフォーマンスでは、イルカの生態などについても説明、また「交流プラザ」内にあるワークショップでは、「京の川スタンプ」など、生物などをテーマにした工作ができるようになっている(時期により変更あり、詳細は京都水族館ホームページ参照)。

イルカと握手

イルカと握手

注:education(教育)とentertainment(娯楽)の合成語で、近年、博物館や美術館などで、楽しみながら学習する手法を表現する用語として認知されている。

幅広い客層に受け入れられる施設に

京都水族館では、初年度の来館者数を200万人と見込んでいるが、これまでのところ予想を上回るペースとなっている。
同館広報の奥村亜紀氏は「当水族館は幅広い層を対象としており、ペンギンゾーンでは子供の背丈に合った造りにしているほか、バリアフリー設計でベビーカーや車いすの方でも気軽に楽しめるようになっている。年間パスポートも入場料2回分の価格設定としており、観光客だけでなく地元京都の市民など数多くの方々に来館いただき、様々な生物と触れ合って欲しい」と語った。
取材時にも、親子連れやカップル、修学旅行生のほかに、年配の夫婦や外国人観光客など様々な来館者が見られた。
また京都市では、神社・仏閣、名所・旧跡などの観光資源が多い京都に、水族館という新たな要素が加わることによって、従来の中心的な観光客である「50~60歳代の女性」だけでなく、「家族連れ」や「若者」など、新たな観光客の誘致につながることを期待している。

梅小路公園の再整備

「京都議定書」誕生の地で、「環境都市」としての顔を持つ京都市では、地球温暖化やヒートアイランド現象への対応に積極的に取り組んでおり、その一環で都市緑化の推進にも力を入れている。
梅小路公園は、もともとはJRの貨物操車場で、草木がほとんどなく、線路とコンクリートだけの土地だった。京都市は1991年から93年にかけて同地を購入し、1994年に「第11回全国都市緑化きょうとフェア」の会場として使用した後、1995年に「都心の緑の創造」、「緑の文化の発信」などをテーマに同公園を造った。
公園内には、長い伝統の中で培われた造園技術を駆使した庭園「朱雀の庭」や、自然の生態系を復元し、小鳥や昆虫たちの棲む環境を創造した「いのちの森」、2.3ヘクタールの広々とした「芝生広場」などがあり、京都市中心部における貴重な緑の集積地となっている。
取材時には、年配の方々が樹木を鑑賞しながら散歩したり、小さな子供を連れた母親達が集まって談笑したりする光景が園内各所で見られ、梅小路公園は京都市民にとって憩いの場所となっているようだった。
同公園の再整備は、2005年に京都水族館建設の提案がなされたこと、2006年にJR西日本から「鉄道博物館」建設の提案がなされたことで動き始めたものである。総合公園としての機能の充実や更なる公園の活性化に向けて、2010年にはイベントなどに利用するための「野外ステージ」を芝生広場横に設置したほか、「鉄道博物館」も2015年度開業を目指して調整が行われている。また、京都水族館の建設によって増加する来園者の交通アクセスを確保する独特の取り組みも行われている。

梅小路公園マップ

梅小路公園 朱雀の庭

梅小路公園 朱雀の庭

「歩くまち・京都」

京都市では観光振興策の中で温暖化ガスの削減や市内の交通渋滞緩和のために、「歩く観光」を推進している。梅小路公園再整備においても、基本方針の中で「歩くまち・京都」の推進を掲げていることから、駐車場の整備は交通弱者(障害のある方、高齢者、乳児連れの家族)向けの必要最低限にとどめている。その代わり、シャトルバスが運行されているほか、既存の路線バスのダイヤ調整も行われ、約380台分の駐輪場も設置されている。
梅小路公園は京都駅から徒歩10~15分程度という距離にあることから、JRを利用して京都市に観光に来る人であれば、京都駅から梅小路公園まで歩いて、道中にある歴史を感じさせる旧家屋などに目をやりながら訪れるのも良いかもしれない。

おわりに

取材では、おもてなしの気持ちにあふれた京都市民の対応に感心させられるとともに、着物をレンタルして市内を観光する人も見かけるなど、観光地としての京都の魅力を改めて実感することができた。夏が近づき、暑くなっていく中で、一時の清涼感や癒しを体験しに、京都水族館や梅小路公園へ出かけてみてはいかがだろうか。

(辻井 勇二)

 

 

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