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西日本レポート

【兵庫県姫路市】姫路城に「天空の白鷺」オープン ~姫路城改修を契機に新たな観光の取り組みを行う姫路市~

2011.08.01 西日本レポート

姫路城に「天空の白鷺」オープン ~姫路城改修を契機に新たな観光の取り組みを行う姫路市~

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工事用建屋に覆われた姫路城の大天守

国宝で世界遺産でもある姫路城では、現在、改修工事が行われている。今回は、改修中の姫路城にオープンした見学施設と、改修工事を機に、姫路城以外の新たな観光資源を掘り起こそうとする姫路市の取り組みを紹介したい。

姫路城は姫路観光の中心地

姫路市は人口53万人で、兵庫県では神戸市に次ぐ都市である。
姫路市への観光入込み客数は、ここ10年間比較的順調に増加し、「姫路菓子博2008」が行われた088年には、1,000万人を超えた。
姫路市の主な観光施設は、姫路城周辺や書写山(しょしゃざん)周辺にある歴史文化施設、動物園などである。なかでも姫路城は、2009年に156万人の入込み客があったほか、城周辺にある観光施設の入場者や城周辺で行われるイベント客を合わせると、観光入込み客が500万人近くになる姫路観光の中心地である。

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姫路城の改修で観光入込み客数が大きく落ち込む

その姫路城で、2009年秋から大天守の改修工事「平成の大修理」が始まった。今回の改 修は、昭和に行われた「大修理」以来45年ぶりで、前回は城郭内の建物を全て、一度解体して組み立て直したが、今回は大天守の瓦の葺き替え、白漆喰の塗り 替えと耐震補強が主に行われる。そのため、姫路城の象徴である大天守が工事用の建屋で覆われている。

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姫路城の改修が始まり、大天守が見学できないということで、2010年には姫路城への観光入込み客は46万人となり、市全体でも前年度を20%近く下回る792万人と大きく落ち込んだ。

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「天空の白鷲」オープン

姫路市では、姫路城の改修に伴う観光入込み客数の落込みを防ごうと、2011年3月26日に、修復作業を見学できる「天空の白鷺」をオープンした。
姫路城の正面登閣口から車イスでも通ることができる通路を進むと、大天守を覆う工事用建屋に到着する。「天空の白鷺」は、この建屋の7、8階に設けられた 見学スペースである。ガイドの案内に従い、エレベーターで8階に上がると、ガラス越しに大天守の屋根瓦を上から眺めることができる。時期によっては、屋根 を葺き替えたり、壁の漆喰を塗り替えたりするなどの作業を見ることができる。また、7階には屋根や壁に使われている漆喰を展示・説明するコーナーもある。

「天空の白鷺」から見る姫路城大天守の屋根瓦

「天空の白鷺」から見る姫路城大天守の屋根瓦

「天空の白鷲」の評判は上々

3月26日から今回取材した6月16日までの入館者数は141,846人で、1日平均1,709人となり、大きく落ち込んだ前年度の平均入場者数を3割程度上回っている。
また、5月13~20日の間に行われたアンケートによると、「天空の白鷺」の評判は上々のようである。「天空の白鷺」の印象については51%が「期待以 上」、46%が「期待どおり」と答えており、再訪の意志を尋ねた問いには、「必ず来る」「たぶん来る」が合わせて84%となるなど、再訪の期待を抱かせる 結果ともなっている。

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姫路城には見所がいっぱいある

「天空の白鷺」のオープンに合わせて、これまで公開されていなかった「リの一渡櫓(いちわたりやぐら)」も公開されている。昭和の大修理の際に発見された古瓦や取り替えられた「しゃちほこ」のほか、普段は保存室にしまわれている甲冑も展示されている。また、工事が行われていない西の丸には、現在放映されているNHK大河ドラマの主人公「江」の娘である千姫が過ごした長局(ながつぼね)や、化粧櫓も公開されている。

「リの一渡櫓」に展示された甲冑

「リの一渡櫓」に展示された甲冑

姫路城は、城郭が大きく様々な構造物があるだけに、大天守以外にも見所は多く、姫路市はこうした姫路城の今まであまり知られていなかった魅力をアピールしようとしている。

旅の手帖 2011年5月号より掲載 イラスト七條初江

旅の手帖 2011年5月号より掲載 イラスト七條初江

B-1グランプリも開催される

観光入込み客の回復を図ろうと、姫路城周辺を会場として、今年11月12、13日には第 6回B-1グランプリ姫路大会も開催される予定である。地元からは「姫路おでん普及委員会」が昨年に引き続いて出店する。姫路おでんは、おでんに生姜醤油 をかけるという、姫路を中心に加古川から相生あたりまでの、ごく限られた地域で食べられるおでんである。
昨年開かれた厚木大会では2日間で過去最多の43万5千人が会場を訪れたため、姫路市ではそれ以上の入込み客数を期待している。
既に駅前通りには、B-1グランプリ姫路大会のための事務所が開設されており、電光掲示板には大会までの日数が表示され、大会気分を盛り上げている。

大手前通りに設けられたB-1姫路大会の事務所

大手前通りに設けられたB-1姫路大会の事務所

体験メニューの掘り起こしで新しい姫路の魅力を

姫路城以外の観光資源を掘り起こそうと、姫路のものづくりや歴史・文化、自然を体験する36のメニューも商品化されている。
ものづくり体験としては、姫路城にも使われている本物のいぶし瓦や手形プレートを作ることができるメニューがある。また、歴史・文化体験では、書写山円教寺(しょしゃざんえんきょうじ)で 一日修行体験や座禅体験ができるほか、姫路城周辺では甲冑武者に変身したり、忍者教室で手裏剣投げをしたりするなど、大人も子供も楽しめるメニューもあ る。さらに、自然を感じる体験では、瀬戸内海に浮かぶ家島で、底引き網や定置網を引き上げる漁業体験もできるなど、盛りだくさんのメニューが用意されてい る。
こうした体験型の観光は、姫路城大改修といういわば、“姫路観光の危機”がなければ、なかなか商品化されることがなかったメニューとも言えよう。

姫路城周辺で行われる忍者教室

姫路城周辺で行われる忍者教室

日帰り型から滞在型の観光都市へ

姫路市は、姫路城というわが国を代表する観光資源に恵まれている、観光入込み客の多い都 市である。しかしながら、神戸市や大阪市に近いこともあり、日帰り客が多いことが課題である。姫路市は、今回の大改修を終えた後には、姫路城と体験型の観 光商品を組み合わせて、観光入込み客に少しでも長く滞在してもらえる観光都市を実現したいとしている。
条件は違うものの、道後温泉本館の改修が計画されている松山市にとっては、今回の姫路城の大改修を契機に、新たな観光資源を掘り起こそうとする姫路市の動きは、参考となるものであろう。
姫路城の魅力に、体験型などの新たな観光資源を積み上げようとする姫路市の取り組みが、大きな成果をもたらすことを、大いに期待したいものである。

(黒田 明良)

 

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