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西日本レポート

【岡山県倉敷市】地域資源を活用し、名物ストリートを作ろう ~倉敷市児島のジーンズストリート計画~

2010.09.01 西日本レポート

地域資源を活用し、名物ストリートを作ろう ~倉敷市児島のジーンズストリート計画~

倉敷市児島地区は、日本のジーンズ発祥の地であり、多くの関連企業が集積している。一方 で、地元ブランドの販売店や関連ショップが少なく、訪れるファンの間では「期待はずれ」との声も挙がっていた。今回は、こうした声に応えようと特産のジー ンズを利用した町おこしに取り組む児島を紹介する。

児島三白の地・倉敷市児島

美観地区で有名な岡山県倉敷市。その南東部に位置し、瀬戸大橋の本州側起点の町である児島は、世帯数約3万、人口7万5,000人の繊維の町で、国産ジーンズ発祥の地でもある。
もともとは、児島三白と言われる「塩」「綿」「いかなご」が主要産業であった。江戸時代後期には塩田開発が盛んに行われ、今も残る国指定重要文化財のが往時の威風をしのばせる。ここは、年間約4万人が訪れる人気の観光スポットになっている。
また、温暖で雨の少ない気候を利用した綿花栽培が盛んであったことから繊維産業も発展し、大正期には足袋、その後は学生服の製造販売が盛んになり、今でも 学生服やユニフォームの一大産地となっている。2008年の工業統計では、ジーンズを含む事務用・作業用・衛生用衣服の出荷額は岡山県が全国1位であり、 3分の1以上のシェアを誇っている。

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ジーンズ発祥の地に関連企業が集積

昭和30年頃からは、占領軍の米兵が着ていたジーンズが人気となったが、その後、日本人に 合う国産ジーンズを望む声が次第に高まってきた。そこで、地元の人達が、学生服製造で培った技術を生かし、ジーンズ産業を興した。今では、ナショナルブラ ンドメーカーや地場ブランドメーカー、海外からのOEMを請け負うメーカーをはじめ、洗い加工、染色など200社以上のジーンズ関連企業が集積していると 言われている。

苦戦の続くジーンズ産業

しかしながら、国内のジーンズ産地では苦戦が続いている。昨年は、大手製造小売や、スー パーなどの量販店、ディスカウントストアなどが、こぞって、海外で生産した低価格のPBジーンズを市場に投入し、売上を伸ばした。児島周辺のジーンズ業者 も、こうした格安ジーンズにシェアを奪われ、販売数量の減少に苦しんでいる。また、岡山に本拠を置く老舗ジーンズメーカーが事業譲渡したほか、産地では、 人件費の安い海外での生産に切り替える動きも続いている。

ジーンズストリート計画

こうした中、ジーンズストリート計画がスタートした。これまでに、既に多くの雑誌やマスコ ミで取り上げられ、国内外に有名な児島を訪れるジーンズファンは多かった。しかしながら、児島に来てみたものの、「ジーンズを買える店がない」「ジーンズ が見えない」「有名なのに、何もない」など、期待はずれとの声が聞かれるようになった。工場はあっても、地場ブランドのジーンズを購入できる販売店がな かったのである。
そこで、かつては児島で最も栄えながら、今はシャッター通りと化している味野商店街へジーンズ販売店を誘致し、ジーンズストリートを形成すると同時に、商店街の復興を図ろうとする試みが始まった。
ジーンズストリートでは、昨年以降出店が相次ぎ、現在7店舗(うち、オリジナルジーンズ販売5ヵ店、カフェ・デニム小物販売1ヵ店、古道具販売1ヵ店)・ 1工場が営業している。今夏までに10店舗程度の出店を目指しており、最終的には15店舗程度まで増やしたい考えだ。店舗所在地がよくわかるように、通り の角4ヵ所には、ジーンズ色=ブルー地の案内看板が設置されている。

ジーンズストリート計画の基本構想

1ジーンズメーカーの販売店をレトロな雰囲気のある味野商店街の街路(約400m)に集積させ、ジーンズストリートを形成する
2国産ジーンズ発祥の地「児島」を観光客等にもPRする
3ジーンズに食や観光をからめて、商店街ひいては児島全体を活性化する

推進協議会を中心に名物ストリート作り

推進の中心は「児島ジーンズストリート推進協議会」。ジーンズメーカーや商工会議所、商店 街関係者などで構成されている。中でもジーンズメーカー5社は、ジーンズ産業の振興、商店街の復興を目指そうと、09年8月に児島デニム協同組合を設立し ていた。商店街の復活を目指していた児島商工会議所も同組合に歩調を合わせ、児島ジーンズストリート推進協議会が設立された。

ジーンズストリートの店舗をめぐる

ジーンズストリートにある販売店の一つ、ダニアジャパンの店舗は、1924年に建設された第一合同銀行(後に中国銀行)味野支店跡を利用している。歴史的な建物をそのまま生かした、落ち着いた雰囲気の中、こだわりのジーンズなどが整然と陳列されている。

レトロな建物:ダニアジャパン

レトロな建物:ダニアジャパン

藍布屋(らんぷや)は桃太郎ジーンズで有名(松山の銀天街でも購入可能)だが、魅惑的な藍色のジーンズがサイズも豊富に並んでいる。

藍布屋のこだわりジーンズ

藍布屋のこだわりジーンズ

価格は共に、普段穿いているナショナルブランド製品の2~3倍。永く愛用でき、自分だけの風合いを楽しめることを考えれば納得できる価格とも言える。高速道路料金値下げの効果などもあって、全国各地から客が訪れているそうだ。

ジーンズミュージアムやバスも

ジーンズミュージアムは、ジーンズストリートからは少し離れ、ジーンズメーカーベティスミ ス本社に隣接している。ここでは、ジーンズの歴史を垣間見ることができるほか、自分だけのジーンズをオーダーすることができる。近くのアウトレットショッ プでは、携帯ストラップなどの小物やジーンズを販売している。価格も手頃であり、サイズが合えば儲けもの、掘り出し物を探してみるのもいいかもしれない。

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ジーンズミュージアム

観光地やジーンズメーカーなどを回るジーンズバスに乗ってみるのもいいだろう。シートカ バーやつり革のベルトにデニムを使用したり、天井にジーンズを貼り付けたりしており、児島がジーンズのまちであることを実感できる。口コミによって広く知 られるようになり、大きな観光資源となっている。今のところ、金・土・日・祝日のみの運行だ。

ゆるキャラ「Gパンだ」に期待

今後も引き続き、大手メーカーを中心に出店を依頼していくが、それ以外にも様々な構想がある。一つは、児島名物三白市(さんぱくいち)と のタイアップ企画だ。三白市は、児島駅前商店街の振興を図ろうと08年9月から始まり、毎月最終日曜日に開催されている。50近い屋台などが出店し、毎回 3千人程度の人出がある。この三白市の開催に合わせて、「ジーンズ市」と題したジーンズのワゴンセール等を開催し、より一層ジーンズに親しみを持ってもら おうという試みである。

「Gパンだ」資料:児島デニム協同組合

「Gパンだ」資料:児島デニム協同組合

もう一つ、ジーンズトリート計画の大きな武器になりそうなのが、「Gパンだ」である。児島 デニム協同組合が絵本作家に依頼して、「Gパン」と「パンダ」をもじったイメージキャラクター「Gパンだ」を考案した。着ぐるみのイベント参加、キャラク ター商品、Gパンだ絵本などでの活躍が期待される。Gパンだのイメージキャラクターとして、地元岡山出身の有名お笑い芸人を起用するという話も持ち上がっ ており、実現すれば大きなPRになる可能性がある。

パビリオンやシャッターイベントも

推進メンバーの一人であるダニアジャパンの兼光社長は、近い将来ジーンズパビリオンを建設したいとの夢を熱く語る。児島全体を象徴し児島のジーンズの歴史がわかるようなものを建設したいとの意向だ。
また、空き店舗の多くはシャッターが下りたままになっており、必ずしも見映えが良くない。このシャッターを活用し、「児島」や「ジーンズストリート」をイ メージさせるようなペイントをして商店街を元気づけ、訪れた人に少しでも良い印象を持ってもらおうという企画も進行中だ。アイデアの募集は6月末で終了し ており、9月中頃にはあちらこちらのシャッターが色鮮やかにペイントされていることだろう。さらにレンタサイクルの貸し出しも検討されている。観光客が、 ジーンズストリートを中心に、旧野崎家住宅をはじめとする地域内の観光施設などを自転車に乗って回遊することも期待されている。

ジーンズに穿き替えて

「児島ジーンズストリート計画」は始まったばかり、種がまかれたばかりである。しかし、 ジーンズという資源の魅力は非常に大きく、ストリートが今後どのように成長していくのかとても楽しみである。是非皆さんもお気に入りのジーンズに着替え、 歴史とジーンズの香り感じる児島へ出かけられてはいかがだろうか。

(菊池 聖)

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