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愛媛の3R企業

平成20年度認定 廃食用油を営業用車両の燃料にリサイクル 有限会社 やっこ屋(2009年4月) 

2009.04.01 愛媛の3R企業

愛媛県資源循環優良モデル認定制度において、優良循環型事業所に認定された企業を紹介する「愛媛の3R企業」。最終回は、弁当などの製造過程で発生する廃食用油を、営業用車両の燃料にリサイクルしている、有限会社やっこ屋の取り組みについてご紹介します。

有限会社 やっこ屋

会社概要 
本 社〒799-0101
愛媛県四国中央市川之江町36-1
代表者代表取締役 鈴木 恒男
主な事業 弁当製造販売

 

てんぷら油はゴミじゃない

普段、使用済みの「てんぷら油」を生活排水に流したり、固めてゴミと一緒に捨てたりしていませんか? 使用済み「てんぷら油」は回収してリサイクルすると、バイオディーゼル燃料として貴重な資源に生まれ変わります。軽油と比較しても二酸化炭素や黒煙の排出が少なく、環境にやさしい燃料として注目されています。

 

廃食用油の現状

国内で、1年間に消費される食用油の量は約237万トンで、業務用、家庭用合わせて発生している廃食用油の量は、約45万トンです。

画像:廃食用油のリサイクルの現状

廃食用油のリサイクルの現状

資料:全国油脂事業協同組合連合会「UCオイルリサイクルについての手引き」をもとにIRC作成
※BDFはバイオディーゼル燃料のこと

外食産業や食品工場などから出る廃食用油は、約8割が回収され、家畜の飼料や、せっけん、塗料などの原料として再利用されています。一方、家庭からのものは、ごく一部がせっけんなどに再利用されているだけで、ほとんどは捨てられています。

 

取り組みのきっかけ

当社は、弁当を製造し、東予地区などの中小企業へ販売しています。1日当たり約4,000食の弁当を製造しており、弁当の製造過程において発生する廃食用油(主に、使用済みのてんぷら油)の量は、年間約8,400リットルになります。その大量の廃食用油は、専用の回収業者に委託して廃棄していましたが、自社内で、再利用する方法はないものかと考えていました。
 地元の運送会社の社長から、他県でバイオディーゼル燃料として再利用している業者がいることを聞き、当社でも取り組めないかと考え、バイオディーゼル燃料精製装置の導入を決めました。

 

てんぷら油を車の燃料に

当初は、自社の工場(弁当の製造過程)から発生する廃食用油をバイオディーゼル燃料にリサイクルし、弁当の配送車20台の燃料に使用しました。その後、口コミなどで当社の取り組みを知った地元の飲食店から、問い合わせが入るようになり、多くの業者から廃食用油の回収を依頼されるようになりました。今では、四国中央市と連携し、一般家庭から発生する廃食用油も回収し、バイオディーゼル燃料へリサイクルしています。当社の取り組みがきっかけとなり、リサイクルの輪が地域に広がったのです。

画像:廃食用油のリサイクルの流れ

廃食用油のリサイクルの流れ

 

精製装置はコンパクトサイズ

一般的に、バイオディーゼル燃料精製装置といえば、大規模な設備を想像すると思いますが、当社が導入している精製装置の大きさは、幅・奥行き75cm×75cm、高さ147cmと家庭用小型冷蔵庫とほぼ同じコンパクトなサイズとなっています。
 バイオディーゼル燃料の製造方法は、まず、使い終わった天ぷら油などの廃食用油をバイオディーゼル燃料精製装置に入れ、メタノールとアルカリ触媒を加えて化学反応させます。その後、品質を高めるための洗浄・脱水工程を経て、燃料が出来上がります。廃食用油100リットルから約90リットルの燃料を作ることができます。当社では、現在、月3,500リットルのバイオディーゼル燃料を精製しています。

画像:バイオディーゼル燃料精製場

効果と今後の取り組みについて

当社では、廃食用油をリサイクルし、自社の配送車の燃料に利用することによって、年間約100万円の経費節減につながっています。
 また、廃食用油のリサイクルを実施することによって、資源循環型社会の一端を担うことができ、地球にやさしい企業として、社会的責任が果たせているものと考えています。
 当社の取り組みは、現在のところ四国中央市に限られていますが、今後は、リサイクルの輪をさらに広い地域に拡大していこうとしています。

(篠原 敏夫)

 

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