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西日本レポート

【徳島県】LED王国・徳島を目指して ~光がつなぐ人と未来へ~

2007.10.01 西日本レポート

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徳島といえば、「阿波踊り」や「鳴門の渦潮」で有名だが、近年はLED関連産業の集積地としても名をはせている。今回は、「LEDバレイ構想」を立ち上げ、LEDによる地域活性化を目指す徳島県の取り組みを紹介したい。

LEDとは

LED(発光ダイオード)とは、Light(光)、Emitting(出す)、 Diode(ダイオード)の頭文字を取った略語である。電流を流すと発光する半導体の一種で、長寿命・低消費電力などの優れた特長がある。具体的には、平 均寿命は、一定の条件下で35,000~100,000時間、消費電力量は電球の10分の1、蛍光灯の2分の1程度と言われている。その用途は、信号機や 携帯電話のバックライト、大型ディスプレイ等、幅広いが、最近では、液晶テレビのバックライト光源や自動車(トヨタの高級車レクサスのヘッドライトに採 用)向けや、農業・医療分野など急速にその応用範囲が広がっている。
徳島県によると、LEDの市場は、急速に進化している。LEDの発光効率の向上や高輝度に伴い、車載用途、オフィスや家庭の照明などへの普及は確実で、その市場規模は、2010年で1兆円以上と見込まれている。

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貸出可能なLEDのオブジェは各地のイベントに引っ張りだこ

LEDバレイ構想

0710_03 徳島県のLEDの生産額世界シェアは約25%、白色LEDに至っては世界の約60%を生産している。世界的にも有名な、日亜化学工業を中心として、世界一のLED生産地域となっている。0710_04
県内では、LEDを地域活性化に活用していこうという動きが広がっている。

まず、2005年5月、徳島経済研究所が創立20周年を迎えるにあたり、「LEDによる 徳島活性化研究会」を立ち上げた。発案者である田村耕一専務理事の呼び掛けに、県や市の職員のほか、日亜化学工業の技師や徳島大学の教授など、産官学のメ ンバーが集まり、シンポジウムなどの開催を通じて、様々な提言活動を行っている。
一方、徳島県では、LEDによる産業振興により関連企業の集積を図ろうと、2000年より検討を進め2005年12月に「LEDバレイ構想」を策定した。目指すべき姿の実現に向け、地域ブランド化機能や産業振興機能など、整備すべき機能が記されている。

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「行動計画」が具体的に動き出す

「LEDバレイ構想」を推進していくにあたり、2006年8月に、徳島県や企業、経済団 体など25団体から成る「徳島県LEDバレイ構想推進協議会」が設置された。同協議会は、2007年3月に「LEDバレイ構想行動計画」を策定し、 2010年までの4年間に具体的に取り組むことを、10の提言、53の事業にまとめた。

0710_06提言の1つである「光の話題づくり」について紹介しよう。徳島がLEDの世界的な生産地と 言っても、一部の企業や大学などの研究機関だけの話題であって、一般市民からみれば、それを実感することはあまりない。そこで徳島県では、LEDを利用し たイベントや話題性のある取り組みに関する情報を、ホームページや新聞、テレビなどの各種媒体により全国に発信している。それによって、「LEDといえば 徳島」と言われるような地域ブランドを確立しようとしている。
「光の話題づくり」の取り組みの1つに、「光の八十八ヶ所巡り」がある。これは、「四国八十八ヶ所」を模したもので、LEDの取り付けられた県内八十八の名所を巡ると「愛が実る」というものである。今後、名所の候補地を集めていく予定である。

また、2009年に予定されている世界初のLEDアートフェスティバル開催に向け、徳島 市を中心に準備が進められている。さらに、フェスティバルの開催期間中に合わせて、LEDを用いたアート作品展や光と音楽を組み合わせたコンサートなども 実施が検討されている。フランスのリヨンなど世界各地で様々な光の祭典が催されているが、これらにはLEDはほとんど使用されていない。LEDを使った フェスティバルとして、世界から注目されるイベントになるだろう。

光マンダラドーム

光マンダラドーム

すでに光の観光スポットも

開催まで待ちきれないという方のために、阿南市でのイベントを紹介しよう。阿南市では、 市や商工会議所が中心となり、2002年からLEDの光を用いたイルミネーションイベントを実施している。イベントでは、「光マンダラドーム」など多数の オブジェがLEDの光で彩られる。ちなみにこの「光マンダラドーム」は、直径12メートル、高さ10メートルもあり、LEDが10万個も使用されている。 観光客も大勢訪れており、宿泊客の増加にもつながっている。阿南市によると、地元への経済効果も大きいようだ。
また、阿南市の牛岐(うしき)城址公園は、夕暮れになるとLEDの電飾が青や白の輝きを放つロマンチックな場所として知られている。四国で初めて「恋人の聖地」に選ばれるなど、今や若者に人気のスポットとなっている。

牛岐城址公園「恋人の聖地」

牛岐城址公園「恋人の聖地」

産業集積へ向け支援体制も着々!

徳島県では、LEDバレイ構想の実現に向けて、2010年までにLED関連企業100社の集積を目指している(現在25社)。
LED関連産業の支援のため、中小企業基盤整備機構の地域中小企業応援ファンドを活用し、「徳島県LEDバレイ推進ファンド」40億円が創設された。同ファンドは、LEDバレイ構想実現のための強力なエンジンとして活用される見通しである。
また、LED産業を支える優秀な人材も必要である。阿南高専では、LED技術に関する講座を設置、地元企業から毎年10名程度の技術者を受け入れ、5年間 で40名の技術者を輩出することを目標とするプログラムを策定した。なお、本プログラムは文部科学省の「地域再生人材創出拠点の形成」事業として、全国の 高専で初めて採択された。

LEDの普及に向けて

さらにLEDを普及させるため、LEDアイデアコンテストを実施したり、将来的に徳島の 代表的な土産物になるようなLEDグッズの開発も検討したりしている。また、次代を担う子供たちにLEDを広く知ってもらうため、工作教室など小中高校で のLED出前授業も企画している。
さらに、今年10月末から徳島県で開催される「第22回国民文化祭」において、LEDのオブジェや関連製品の展示、工作教室の開催等により、徳島のLEDを広くアピールする予定である。

「LED王国・徳島」をめざして

今年8月、LEDバレイ構想のキャッチフレーズが決定した。全国1,212件の応募の中から選定されたのは、「LED王国・徳島~光がつなぐ人と未来へ~」。目指す将来像へ向かって具体的な行動計画はスタートを切ったばかりだが、掲げた様々な施策を着実に実行していくことで、2015年にはLED産業の振興と「LEDといえば徳島」という地域ブランドイメージが定着していることを期待したい。

(山本 育矢)

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