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西日本レポート

【香川県高松市】「人が住み、人が集う商店街」を目指す!! -全国初の民間主導による再開発事業-

2007.02.01 西日本レポート

「人が住み、人が集う商店街」を目指す!! -全国初の民間主導による再開発事業-

近年、中心市街地の人口減少や高齢化、モータリゼーションの進展による郊外への大型商業施設の建設などにより、全国各地で中心市街地の衰退や空洞化が一段と深刻になっている。
こうした中で、高松市内中心部の丸亀町商店街では、全国初となる民間主導での中心市街地再開発事業が積極的に展開されている。
今回は、昨年12月に一部がオープンした「高松丸亀町商店街市街地再開発事業」についてレポートしたい。

「高松丸亀町商店街」とは?

高松市内中心部には、丸亀町商店街などを含めて8つの商店街があり、これらを総称して「高松中央商店街」と呼ばれている。このほぼ全てがアーケード商店街(総延長2.7km)で、その長さは日本一である。
中でも、丸亀町商店街は、南北に全長470m、157店舗(アパレル関係が52%)で構成される市内で最も大きな商店街だ。
その歴史を振り返ると、高松城築城に伴い丸亀から商人たちを呼び寄せ1588年に開町された、今年で419年目を迎える市内で最も古い商店街である。

振興組合が再開発の推進力

丸亀町商店街は、アーケードの建替や路面のカラー舗装、個店のリニューアルを積極的に進めるなど、常に魅力あふれる中心商店街を目指してきた。しかし、全国の多くの中心商店街と同様に衰退が著しかった。
こうした中で、再開発事業推進の大きな原動力となったのが、今回の計画の中心的役割を担った高松丸亀町商店街振興組合(以下、「振興組合」という)である。
この振興組合は、多くの商店街で見られる商店街内部の問題を話し合うだけの組合ではなく、未来を見据え商店街はどうあるべきかを考え、「まちづくり」の戦略を策定し実行してきた、言わば、自ら考え動いた実績を持つ振興組合である。
例えば、郊外型大型商業施設に対抗すべく、10年以上前から、商店街内に発生した空地などを購入し、振興組合が主体となって駐車場経営を行ってきた。駐車場事業は順調に収益を生み出しており、その収益をまちづくりに再投資するなど、振興組合の活発な活動を支えている。
また、1988年に開催された「開町400年祭」において、「100年後も商業の中心であり続ける商店街」というビジョンを描き、1990年には丸亀町再開発委員会を発足させた。そして翌年に策定した再開発計画が、今回の再開発事業の骨格となっている。
特筆すべきことは、最初から行政に頼るのではなく、振興組合自らが「まちづくり」を主導し、その熱意に動かされた行政が支援を行うといった、あくまで民間主導型の計画となっていることである。
その後1998年には、高松丸亀町まちづくり株式会社(以下、「まちづくり会社」という)が設立され、再開発に向けた取り組みが加速した。再開発に当たっ ては、開発地域を区分けし、それぞれにコンセプトを持たせることで、商店街全体を1つのショッピングモールとする計画が策定された。
具体的には、丸亀町商店街をAからGの7街区に分け、A街区は「高級ブティック街」、B、C街区は「美・健・ファッション街」など、これまでアパレル中心であった店舗構成から、幅広い年齢層の来街客が楽しめる店舗構成を目指して再開発が進められている。

7街区全体のイメージ

7街区全体のイメージ

A街区に「高松丸亀街壱番街」がオープン!

A街区は、丸亀町商店街、片原町西部商店街、兵庫町商店街の交差点に位置し、「高松三越」 に隣接しているなど、「高松中央商店街」北部の拠点を形成している。2005年3月には、A街区市街地再開発事業の建設工事が開始され、昨年12月10 日、「高松丸亀町壱番街」(以下、「壱番街」という)がオープンした。
A街区の事業スキームの特徴は、まちづくり会社が地権者と定期借地権契約 を締結し、まちづくり会社が建物を建設し、所有することだ。そのため、建物全体を一体的に運営できるとともに、総事業費を抑えることができた。また、テナ ントの売上高に応じて地権者の家賃収入が増減する「オーナー変動地代家賃制」の導入も特徴といえるだろう。全国の中心商店街では、地権者の家賃収入が一定 であるところが多い。

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丸亀町商店街北側(高松三越側)からみた「壱番街」

しかし、壱番街では本制度の導入により、地権者とテナント、まちづくり会社が売上増加とい う同じ目標に向かって事業運営していくことになり、中心商店街の活性化につながることが期待されている。また、壱番街の運営については、東京の大型商業施 設の全面改装などを手掛けた実績のある専門家を招聘しており、集客力向上を目指すとともに、中心商店街への波及効果を狙っている。
壱番街の5階部分以上は分譲マンション(47戸)となっている。このマンションには駐車場を設置していないことから、当初は車を持たない高齢者をターゲットとして販売を開始した。しかし、実際には通常のマンションと同様に幅広い年齢層から支持され完売した。
また、これまで多くの市民に親しまれてきたA街区の「三町ドーム」が全面改修され、今春には、イタリア・ミラノの「ガレリア」に匹敵する本格的なガラス ドームの広場が完成予定だ。商店街の中にある本格的なドーム広場は、全国でも珍しいため、これまで以上に市民が集う広場となることはもちろん、高松の新し い観光スポットとして多くの来街者を集めることが期待される。壱番街には、これまで丸亀町商店街には少なかった飲食店などを出店することで、来街客の滞留 時間を少しでも長くすることを目指している。また、各所にベンチやいすを設置するなど、多くの休憩スペースを配置しており、子供から高齢者まで幅広い年齢 層の来街者が気軽に休憩できるよう、配慮が行き届いている。

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商店街と百貨店が一体となったまちづくりを推進

A街区の再開発事業では、「高松三越」の全面的な協力体制も見逃せない。全国でも、商店街と百貨店が一体となって中心市街地活性化に取り組んでいる事例は珍しく、その取組状況は全国から注目を集めている。
壱番街のグランドオープンに先行して、昨年11月3日、「高松三越」は、壱番街東館にスーパーブランドなど4店舗をオープンした。同時に、「高松三越」の 本館と新館を全館リニューアルし、本館1階に高級ホテルをイメージしたエントランスロビーと総合インフォメーションが完成した。総合インフォメーション は、「高松三越」の総合案内所であるとともに、商店街のイベント情報などを発信する地域の総合案内所としての役割も担っている。

生活しやすい環境整備を目指す

高松市の中心市街地の路線価は、1992年には424万円/m2に まで高騰したため、土地を手放す人が増え、商店街やその周辺の居住者が郊外などに流出した。このため、商店街やその周辺にあった八百屋や魚屋、日用雑貨な ど生活必需品販売店の廃業が続き、アパレル関係中心の商店街となった。今後は、中心市街地の居住人口の増加を図るために、こうした生活必需品販売店を呼び 戻すなど、生活しやすい環境整備を目指していく必要がある。その一環として、昨年10月、振興組合はG街区に「丸亀町亀井戸水神市場」をオープンした。こ こでは、無農薬栽培や有機栽培の野菜などを農家から直接仕入れているため、「安全・安心」な野菜などを販売できるのが強みである。
再開発事業で は、中心市街地で快適な生活が送れるような居住環境の整備を目指しており、今後、様々な利便施設や医療施設、温浴施設などの建設計画が順調に進めば、5年 後には、人々がより暮らしやすい中心市街地として生まれ変わることだろう。加えて、新たに中心市街地に居住したいと思う市民が増えることも期待できる。こ のように、中心市街地の居住人口が増加すれば、中心市街地が活力を取り戻すことになるだろう。

こだわりの農産物等が並ぶ「丸亀町亀井戸水神市場」

こだわりの農産物等が並ぶ「丸亀町亀井戸水神市場」

「人が住み、人が集う商店街」の実現を!

高松は全国有数の商業激戦地であるといわれている。1996年の丸亀町商店街の年間総通行 量は約1千万人であった。しかし、1998年に県内最大規模の大型ショッピングセンター「ゆめタウン高松」が市内南部に開店した影響などにより、2004 年には、約580万人にまで減少した。
今春には、「ゆめタウン高松」に次ぐ規模となる「イオン高松ショッピングセンター」が、市内北西部に開業の予定だ。このように、間もなく郊外で巨艦店同士の流通戦争の火ぶたが切って落とされようとしており、中心市街地を取り巻く環境はさらに厳しくなる見通しだ。
こうした中で、丸亀町商店街は、「高松三越」と一体となって、ブランド力のある店舗の導入などにより商店街の魅力を高めるとともに、居住環境の整備を行い、中心市街地への居住も進めようとしている。
多くの来街者や居住者に郊外の巨艦店とは違った中心商店街ならではの魅力をアピールし、「人が住み、人が集う商店街」が実現されることを大いに期待したい。

(越智 洋之)

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