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愛媛の近代化産業遺産を訪ねて

別子銅山の繁栄を今に遺す四国のマチュピチュ -新居浜市立川町 別子銅山東平地区-(2006年5月)

2006.05.01 愛媛の近代化産業遺産を訪ねて

シリーズ「愛媛の近代化産業遺産を訪ねて」6回目は、新居浜市にある別子銅山東平地区をご紹介します。

 

別子銅山とともに発展した新居浜市

別子銅山の歴史は、元禄3年(1690年)に人跡未踏の山中で、長兵衛という鉱夫が、銅の鉱脈を発見したことに始まるといわれています。この鉱脈は、幅1,500m、長さ2,300mあり、標高1,300mの露頭から海面下1,000m以上まで地中深く入り込んでいました。この銅山は、1691年に住友家によって採鉱が開始され、1690年代後半には世界最大の産銅量を誇るまでになりました。
 世界的にもまれにみる大鉱床であったことから、283年もの長期にわたって採鉱され、別子銅山の採鉱量は約3,000万トン、産銅量は約65万トンに上ったといわれています。
 この銅山は昭和48年(1973年)に閉山しましたが、そこから派生した重機械や化学、非鉄金属、電力などは、今でも工都「新居浜」を支える基幹産業となっています。

 

全盛期の東平地区

明治時代になると、さく岩機をはじめとする欧米諸国の設備や技術を積極的に導入することで、大量出鉱時代を迎えることになりました。その中で、明治35年(1902年)に、採鉱本部のあった東延(とうえん)と400m下の東平が、第三通洞(トンネル)によって結ばれ、この東平は初めて別子銅山史の表舞台に登場することになりました。この通洞の完成にあわせて選鉱場が造られ、さらに、索道の起点になるなど、東平地区は重要拠点になりました。特に、大正5年(1916年)、東平地区に採鉱本部が移されてから、多くの鉱山関係者やその家族が移り住み、次々に学校や劇場、病院などが建設され、ピーク時の人口は約3,800人にまでなり、名実ともに別子銅山の中心都市となりました。
 しかしながら、昭和5年(1930年)に採鉱本部が端出場(はでば)に移ったと同時に、一部の鉱山関係者も転居するなど、次第に人口も減少していきました。そして、昭和43年(1968年)に東平坑が休止されると、鉱山関係者のほとんどが東平を離れ、4年後の昭和47年(1972年)には、まちの唯一の交通手段であった駕籠(かご)電車が廃止されたことにより、東平地区は無人の地となりました。

駕籠電車

駕籠電車

 

「マイントピア別子東平ゾーン」として再生

東平地区は無人となりましたが、別子銅山2代目支配人伊庭貞剛氏によって植林活動が行われ、時間の経過とともに山は緑を取り戻していきました。
 新居浜市はこのすばらしい近代化産業遺産を守り、観光資源として活用していくために、平成6年(1994年)、「マイントピア別子東平ゾーン」として整備しました。ここには、別子銅山の索道基地跡や貯鉱庫跡、第三通洞跡など当時の面影を偲ばせる史跡がいくつも遺されています。また、当時の生活を物語る写真や生活用品などを展示した東平歴史記念館もあります。記念館では、ジオラマ(小模型)を使って全盛期の東平地区を再現し、小学校や住宅、娯楽場など活気あふれる当時の生活ぶりを今に伝えています。
 この東平ゾーンは廃墟となった空間都市の規模の壮大さや歴史などから、ペルーにある世界遺産になぞらえ、「四国のマチュピチュ(注)」と呼ばれ、映画「船を降りたら彼女の島」のロケ地になるなど、観光地としての新居浜のイメージアップに一役買っています。
 また、この東平地区を含むマイントピア別子端出場ゾーンと翠波高原を結ぶ地域は、「別子はな街道」と呼ばれており、四季を通じ多彩な自然を楽しむことができるために、散策を楽しむ市民や観光客が増えているようです。これからも、東平ゾーンに多くの人が訪れ、多彩な自然や壮大な近代化産業遺産を楽しんでほしいものです。

東平歴史記念館(新居浜市提供)

東平歴史記念館(新居浜市提供)

(木内 淑雄)

 

東平歴史記念館の見学・利用の申し込み

開館時期毎年3月~11月(休館日:月曜)
開館時間午前10時~午後5時
電話番号(0897)36-1300
入場料 無料

【参考文献】
『愛媛温故紀行』財団法人えひめ地域政策研究センター(2003年)
『別子三〇〇年の歩み』住友金属鉱山株式会社(1991年)
『歓喜の鉱山 ~別子銅山と新居浜~』新居浜市(1996年)

(注)マチュピチュ
 ペルーの標高2,000mを超える断崖絶壁の頂上斜面にある、石積建築の要塞空中都市で、世界遺産に登録されている観光名所です。

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