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合併市町村を訪ねて

中山間地域の魅力溢れる“まちづくり”を目指して!! -8月1日に「久万高原町」が誕生-(2004年8月)

2004.08.01 合併市町村を訪ねて

 今回で3回目を迎える、くろーずあっぷ「合併市町村を訪ねて」は、今月1日に誕生した「久万高原町」を紹介します。

面積は県内一の「久万高原町」誕生

 「久万高原町」は、旧久万町を中心に旧面河村、旧美川村、旧柳谷村の1町3村が合併して誕生した。新町は、標高1,000mを超える四国山地の山々に囲まれた中山間地域にあり、面河川、久万川が流れるなど、自然環境が豊かである。その中核となる旧久万町は、標高500mと夏でも涼しく「四国の軽井沢」と呼ばれることもある。合併後の人口は約1万2千人と、県内で進められている市町村合併の人口規模としては小さいものの、総面積は約584km2と県内で最も広い行政区域となる。

【予想される来年4月1日の県内市町村面積ベスト3】

 新市町村名面積(km2)
1久万高原町583.66
2西予市514.78
3新「西条市」509.02

資料: 国土地理院「全国都道府県市町村別面積調(2002年10月1日現在)」をもとにIRC作成

 また、新町は1万2000年前の縄文草創期から後期にかけての複合遺跡である「上黒岩岩陰遺跡」をはじめ、18世紀中期頃に建てられた「旧山中家住宅」や、四国霊場44番札所「大宝寺」、45番札所「岩屋寺」など、数多くの遺跡や史跡等の文化財のある非常に古い歴史をもつ町である。

名勝「古岩屋」

名勝「古岩屋」

 

歴史・自然・産業を考慮した新町名に

 市町村合併における基本的な協議事項の中で、問題となるのは、「庁舎の位置」と「新町の名称」であることが多い。「久万高原町」でも、「庁舎の位置」については本庁を久万に、支所を面河、美川、柳谷に置くことで、すんなり決まったが、「新町の名称」は予想以上に難航した。

「久万高原町役場」

「久万高原町役場」

 

 町名を決める過程では、まず、新町名を公募し、その中で新町の名称候補選定基準である5項目を全て満たしていた1久万町、2美川町、3くま町、4石鎚町、5高原町の5つが候補となった。しかし、話し合いでは新町名を決定することができなかった。

【新町名称候補の選定基準】

(1) 地域が地理的にイメージできる名称
(2) 地域の特徴を表す名称
(3) 地域の歴史、文化にちなんだ名称
(4) 対外的にアピール、あるいは知名度を向上できる名称
(5) 地域の産業振興等の共通課題が図れる名称

資料:「かみうけな合併協議会だより」

 そのため、2003年4月に新町名検討小委員会の委員24名全員で無記名投票を行った。その結果、「久万町」と「高原町」が同票で並んだため、再度この2候補で決選投票を行ったところ、僅差で「高原町」が選定された。
 ところが、一旦は、「高原町」に決まったものの、その後、藩政時代から当地域が久万郷として栄えてきた歴史があることや、農林産物にも“久万高原産”などの名称がよく使われることなどの理由により、「久万」の名を残すことを求める住民の署名活動が起こり、再び「久万町」を押す声が高まり、新町名を再度検討することとなった。しかし、「高原町」を押す側の思いも強く、話し合いは難航した。しかしながら、旧4町村関係者の粘り強い協議の結果、新町名は最終的に、この地域の歴史や伝統、文化、自然、産業などの特徴を簡明に表す「久万高原町」に決定された。

 

豊富な観光資源を活かすことができるか

 新町には、平尾台、秋吉台と並んで日本三大カルストの1つを形成する「四国カルスト県立自然公園」や、標高1,982mと西日本一高い石鎚山を中心にした「石鎚国定公園」、そして、名勝「面河渓」など、山岳系の観光資源が豊富にあり、当地域内を流れる面河川や久万川では、夏には鮎釣りを楽しむこともできる。
 また、四国を代表するスキー場が2つあり、人気が高い。「美川スキー場」は四国で最も古いスキー場で、過去国体が開催されるなど、その規模は四国随一である。松山市から約1時間で行くことができる「久万スキーランド」は、営業時間が長く、都市近郊型のスキー場として常連客も多い。スキー場のほか、ゴルフ場も「久万カントリークラブ」と「高原ゴルフ倶楽部」の2つあり、夏でも久万高原の涼やかな気候の中でプレーを楽しむことができる。
 さらに、91年に開設された「久万高原ラグビー場」は、久万高原の中央盆地を見下ろす高台にあり、そこでは、毎年「久万町長杯ラグビーフットボール大会」が開催されている。県内外から高校生ラガーたちが参加し、毎年熱戦が繰り広げられている。この他、夏には河川に涼を求めて多くの人がキャンプに訪れるなど、アウトドアやスポーツスポットとしても人気が高い。
 このようなすばらしい自然と直接ふれあうことができる多彩な観光資源を目玉にした魅力ある観光プランや、農山村空間を最大限に活用した滞在型・体験型観光、スポーツスポットをアピールした魅力的なレジャープランなど、豊富な地域資源を十分に活かしきることができれば、今後、県内外からの入り込み客数をさらに増加させることも決して不可能ではなかろう。

四国カルスト県立自然公園

四国カルスト県立自然公園

名勝「面河渓」

名勝「面河渓」

御三戸嶽

御三戸嶽

 

高原を活かした農林業振興を目指す

 新町の基幹産業は、高原地帯の気候を活かした農業と久万銘木で知られている林業である。
 代表的な農作物には、冷涼な気候を活かしたトマト、ピーマン、大根などの夏秋野菜や久万茶がある。このほか、四国カルストには、県内初の植物栽培工場「夢ファームやなだに」があり、無農薬野菜の生産に取り組んでいる。
 林業は、杉や檜のしぼり丸太の生産など、付加価値の高い木材生産を目指している。
 ただし、過疎化と高齢化により、農林業の担い手は従来以上に不足している。高原野菜の生産などを目玉にした観光農業や、銘木生産などの高付加価値化をなお一層推進することにより、農林業の経営安定を図り、若い就業者を定着させ、地域の活性化につなげていくことが求められている。

 

高齢者にやさしいまちづくりを

 2000年国勢調査によると、新町の高齢化率は38.2%で、全国平均の17.3%、愛媛県平均の21.4%を大きく上回っている。今後も高齢化の加速に対する住民の不安がさらに高まっていくことが予想されるため、新町の施策においては、その対応策が主要施策として盛り込まれている。
 2002年9月に行われた合併についてのアンケート結果では、合併後重点的に求められている施策として、「保健・医療対策の充実」が断トツで、2位が「介護・福祉対策の充実」、3位が「若者の定住化促進」となった。これらを受けて新町では、高齢者が安心して暮らせる質の高い地域保健医療体制の構築や、医療機関と公共福祉機関との連携強化を今まで以上に進めていく計画である。
 高齢者にやさしいまちは、住民誰にでもやさしいまちでもあり、それが実現すれば高齢者だけではなく若者にとっても住みやすく魅力的なまちになっていくに違いない。
 これからも、「久万高原町」が全ての住民にとって安心して暮らせるまちとなり、中山間地域の将来を示すモデルケースとしてさらに輝きを増していくことを期待したい。

(越智 洋之)

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