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西日本レポート

【福岡県北九州市】小倉、紫川河畔に“新名所”誕生! -商業・文化・情報発信の拠点「リバーウォーク北九州」-

2004.02.01 西日本レポート

小倉、紫川河畔に“新名所”誕生! -商業・文化・情報発信の拠点「リバーウォーク北九州」-

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北九州市の小倉城を望む紫川河畔に商業・文化・情報発信など多彩な都市機能が複合した大型複合施設「リバーウォーク北九州」が2003年4月19日にオープン、北九州市中心部の一大人気スポットとなっている。
今回は、松山から高速船“シーマックス”で約3時間の「リバーウォーク北九州」をレポートしたい。

市内中心部に“新名所”誕生

北九州市は、戦後、日本有数の工業都市として発展してきたため、九州第2の都市ではあるが、福岡市に購買力が流出する傾向が続き、市内中心部の空洞化が深刻な問題となっていた。
それに加え、大手百貨店「そごう」の破綻に伴い、2000年12月、「小倉そごう」と「黒崎そごう」が相次いで閉店。さらに、2002年12月には地場老舗百貨店「小倉玉屋」も閉店、中心部の商業機能の衰退に拍車がかかった。
こうした時期に北九州市の都市再開発の基本構想である「北九州市ルネッサンス構想」に基づき、「小倉玉屋」や「ダイエー小倉店」などの跡地(約2万m2)に総事業費約500億円を投じ、開発されたのが「リバーウォーク北九州」である。そのネーミングには、「小倉の街を流れる紫川の水辺を心地よく歩いてほしい」、「北九州市に新しいシンボルをつくりたい」との思いが込められている。
2003年4月の開業以降、10月までの半年間で来場者数は650万人に上っている。来場者の車両ナンバーをみると、北九州49%、山口17%、福岡9%、筑豊6%、大分6%などとなっている。北九州以外が51%と過半数を占めており、市外からも多くの来場者を集めていることが分かる。
一方、売上は初年度目標200億円に対し、2003年10月18日現在で100億円となっており、それ以降のクリスマスセールや年末年始のバーゲンセールなどを考慮すれば目標を十分達成できる見込みである。

小倉城や紫川と調和

開発に当たり特に重視したのは、市内中心地域を流れている紫川や勝山公園、小倉城などの緑豊かな自然環境や歴史的空間との調和を図ることであったという。事実、「リバーウォーク北九州」の施設は周辺の紫川や小倉城などと見事に一体化しており、多くの人々が集う安らぎの空間として整備されている。

機能構成

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リバーウォーク北九州の概要

所在地福岡県北九州市小倉北区室町1丁目1番
運営会社エフ・ジェイ都市開発株式会社
(本社:福岡市)
※キャナルシティ博多も運営
開業日2003年4月
テナント数148店(2003年12月現在)
営業時間商業ゾーン:10時~21時
飲食:10時~23時
グルメシティ、フードパオ:10時~22時
休業日年中無休
建物規模地下2階、地上15階(中間階1層含む)
敷地面積約22,000m2
延床面積約 162,000m2
総事業費約 500億円
初年度
集客目標
1,000万人
初年度
売上目標
約 200億円(商業ゾーン)

モールの神様が設計

「リバーウォーク北九州」は、世界屈指の商業空間の設計者で“モールの神様”と呼ばれている米国のジョン・ジャーディー氏によって設計された。これまでに彼がデザインした代表的な建築物には、福岡市の「キャナルシティ博多」や今話題の東京の「六本木ヒルズ」などがある。
この施設の特徴の1つは、敷地が東西方向に広く長い形であり、通常の箱型のビルを建てると周囲に威圧感を与えるため、1つの建物を個性ある5つの建物のように見せることで、周囲の景観にマッチするよう工夫している点である。
外観の色は、日本瓦や漆喰壁、収穫前の稲穂など日本独自の風景に見られる美しい色彩をモチーフにしており、この日本古来の伝統的な美しさとモダンで大胆な色使いは周辺の豊かな自然環境との調和を図っている。

建物の色とその表現するもの

表現するもの
高層棟グレーブラック日本瓦
大ホール棟漆の赤
中ホール棟薄茶色大地
シネマ駐車場棟ハーベストイエロー収穫前の稲穂
低層棟漆喰壁

北九州市は、1963年に九州初の政令指定都市、百万都市として旧5市(門司、小倉、八幡、若松、戸畑)が対等合併して誕生した。1つの建築物を5つの建物に見えるようにすることで、旧5市が合併して北九州市が誕生したこと、そして、旧5市それぞれが豊かな個性をもっていることを表している。
建物の北側と南側を比較してみると、道路に面している北側の壁面は電光掲示や垂れ幕などの広告用スペースとなっている。これらは、新幹線の車窓からも見ることができ、効果的な宣伝ができている。一方、小倉城に面している南側の各所からは、小倉城を眺めることができるよう工夫がなされている。なかでも、5階の「ルーフガーデン」は、間近に小倉城を望むことができるおすすめのスポットであり、1階にあるテラスとともに市民や買い物客の憩いの場になっている。

「リバーウォーク北九州」南側から望む小倉城

「リバーウォーク北九州」南側から望む小倉城

商業・文化・情報発信の融合

それでは、施設内を見ていこう。この施設は、大きく分けて「商業ゾーン」、「文化ゾーン」、「情報発信ゾーン」の3つのゾーンに分かれている。
なかでも、「商業ゾーン」には148店舗が出店しており、そのうち九州初出店が21店舗、北九州初出店が64店舗と「初」出店にこだわった店舗構成が魅力的で来場者の注目を集めている。

各ゾーンの概要

(1) 商業ゾーン<地下1F> 飲食店街「フードパオ」 ダイエー「グルメシティ」
<1F~5F> 専門店街「デコシティ」
<4F、5F> シネマコンプレックス 「T・ジョイリバーウォーク北九州」
(2) 文化ゾーン<4F、5F> 北九州市立美術館分館
<5F~8F> 北九州芸術劇場
(3) 情報発信ゾーン<4F、5F> NHK北九州放送局
<4F、8F、9F> 朝日新聞社西部本社
<10F~13F> オフィス
<14F> ゼンリン地図の資料館

商業ゾーンのコアをなす専門店街「デコシティ」は、102店舗で構成される北九州最大級のショッピングモールであり、20代や30代の女性を中心に人気を集めている。
九州初出店は、飲茶バイキングの「香港蒸籠(ホンコンチョンロン)」など11店舗だ。また、北九州初出店は44店舗で、なかでも「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」は、九州最大規模(約400m2)のメンズ、レディース、キッズ、マタニティ、雑貨などを揃えたセレクトショップで幅広い年齢層からの支持を得ている。

“食”のテーマパーク

地下1階に広がる「フードパオ」は、全国各地から餃子やラーメンなどの人気店が軒をつらねる「餃子の小径(こみち)」や「麺ロード」と、寿司やイタリアン、エスニック、カレーなど本格的な料理が気軽に楽しめる「デリパティオ」などからなる“食”のテーマパークだ。ここに行けば子供から高齢者まで全ての人々が満足できる店舗構成になっており大評判である。
九州初出店は、横浜中華街や東京で行列ができる店として有名な香港飲茶専門店「招福門(しょうふくもん)」などの10店舗である。北九州初出店は、消化吸収に優れ、アトピーの人でも飲める“山羊のミルク”を使った洋菓子店「スタジオ・ダ・ヴィンチ」など17店舗だ。
同じく地下1階には、ダイエーのスーパーマーケット「グルメシティ」があり、日常生活のニーズにも対応している。

来店客でにぎわいを見せる「麺ロード」

来店客でにぎわいを見せる「麺ロード」

餃子の小径(6店)九州初の餃子専門店街
麺ロード(5店)ラーメン、蕎麦、中国料理などバラエティーに富んだ麺が楽しめるゾーン
デリパティオ(14店)イートインコーナーなどがあり、全国各地の味を紹介するイベントスペース「パオーズ」があるゾーン
スウィーツアベニュー(8店)本格的なベーカリーや、洋菓子などスウィーツ好きには欠かせないゾーン
グローサリーロード(10店)食材、生活雑貨、キッチン用品、ドラッグストアなどライフスタイル型ゾーン
サービスロード(3店)クリーニング店やDPE専門店など毎日の暮らしに役立つゾーン

九州初!!餃子専門店街

なかでも、ユニークで圧巻なのは、「餃子の小径」だ。ここは、個性豊かな6軒の餃子専門店が勢揃いした九州初の餃子専門店街であり、バラエティに富んだ様々な餃子を食べ比べることができる。お薦めは、餃子消費量が日本一の“餃子の街 宇都宮”から出店した「シンフー」で、厳選されたオリジナル餃子がリーズナブルな価格で楽しめると評判である。中国語で“幸福”を意味する「シンフー」では、文字通り顧客を“幸福”にさせるおいしさを提供している。

九州初の餃子専門店街

九州初の餃子専門店街

デジタルシアター

4階には、8つのスクリーンを持ち、客席数1,478席の規模を誇るシネマコンプレックス「T・ジョイ リバーウォーク北九州」がある。シネコンそのものは決して珍しいものではないが、ここには、フィルムを使わないデジタルシアターが2つある。その特徴は、上映作品が通信衛星などで配給されるため、フィルムの複製費や配送費が削減でき、画質の劣化も防ぐことができることやフィルム上映よりもスクリーン全体の映像が鮮明で臨場感ある音響を体感できることだ。

デジタルシアター

デジタルシアター

歌舞伎やミュージカルも楽しめる劇場

文化ゾーンには、2003年8月に大中小の3劇場で構成される北九州芸術劇場がオープンした。客席数1,300席の大ホールでは、東京や大阪などで開催されている歌舞伎やミュージカルなどの公演も楽しむことができる。福岡市の「キャナルシティ博多」には、劇団四季の専用劇場「福岡シティ劇場」があるが、客席数は1,144席であり、この北九州芸術劇場はそれを凌ぐ大型の劇場である。

北九州市全体の活性化を期待

「リバーウォーク北九州」では、他施設との差別化を図るために小倉城を背景にした薪能や音楽ライブ、紫川でのボートイベントなど、その立地を十分に活かした多彩なイベントを開催している。昨年12月には、クリスマスイルミネーションで飾られた「光の国のクリスマス」が開催され、平日でもにぎわいを見せた。このように「リバーウォーク北九州」の集客は、これまでのところ順調である。
しかしながら、今年2月10日にはJR小倉駅前の「小倉そごう」跡地に「小倉伊勢丹」が、また、今年の夏には八幡東区の北九州博覧祭会場跡地へ「イオン」の大型商業施設が開業する予定である。中心部での競合に加え、郊外との競合も一段と強まる見通しであり、人の流れが大きく変わる可能性も出てきた。「リバーウォーク北九州」が今後どのように対応していくか、その真価が問われる。
間もなく百万都市北九州市で巨艦店同士の流通戦争の火ぶたが切って落とされる。それぞれの施設がこれまで以上にその魅力を高めながら切磋琢磨し合うことにより、北九州市全体の活性化が図られることを期待したい。

(越智 洋之)

光の国のクリスマス

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